麻野涼『悪い女 暴走弁護士』
推理小説としても、一般の小説としてもよくできている。感動した。
読み始めてしばらくは面白さだけを狙った通俗小説かと誤解していたが、違った。伏線の張り方が見事だ。人物の描き方も自然で、しかも温かい。
読んで良かった。
谷崎潤一郎『痴人の愛』
幸せな男の話・・・といっても良いのだろうか。まあ、無理か。
うらやましいという気持ちになるのは事実だが、ぼくには無理だろうな。
紫の上がナオミのような女だったら源氏物語はもっと面白くなるのか、あるいは・・・
逢坂冬馬 『 同志少女よ、敵を撃て』
すばらしい作品だった。この年になるとあまり大部の本は手に取るのが苦痛になる。この本も薦められたとはいえ、読み始めるのは少し躊躇した。しかし、長い作品なのに途中で止めることができない。アガサ・クリスティ賞選考において初めて全員一致で選出されたというのも無理はない。
内容について文句のつけようがない。強いて欠点を挙げるならば、賞の選者の一人も同じように感じたらしいが、タイトルに少し疑問を感じた。「敵」というのは、単にドイツ兵ではないのかも知れないが。
O・ヘンリー『水車のある教会』
O・ヘンリーの短編は全部読んだつもりだったが、これは読んでいなかった。しかも読後感は最高。楽しく面白い。
ただ、時代を考えればやむを得ないかも知れないが、ジブシーへの偏見をかき立てるような側面だけは残念。