2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

谷崎潤一郎『痴人の愛』

幸せな男の話・・・といっても良いのだろうか。まあ、無理か。 うらやましいという気持ちになるのは事実だが、ぼくには無理だろうな。 紫の上がナオミのような女だったら源氏物語はもっと面白くなるのか、あるいは・・・

葉山嘉樹『坑夫の子』

プロレタリア文学の旗手の一人であるが、小林多喜二や宮本百合子ほどには知られていない。ぼくも今まで読んだことがなかった。青空文庫で他の本を探しているときに眼に入ったので読んだのだが、なかなか面白かった。僅かな不注意、体調の悪化さえも重大な事…

逢坂冬馬 『 同志少女よ、敵を撃て』

すばらしい作品だった。この年になるとあまり大部の本は手に取るのが苦痛になる。この本も薦められたとはいえ、読み始めるのは少し躊躇した。しかし、長い作品なのに途中で止めることができない。アガサ・クリスティ賞選考において初めて全員一致で選出され…

O・ヘンリー『水車のある教会』

O・ヘンリーの短編は全部読んだつもりだったが、これは読んでいなかった。しかも読後感は最高。楽しく面白い。 ただ、時代を考えればやむを得ないかも知れないが、ジブシーへの偏見をかき立てるような側面だけは残念。