逢坂冬馬 『 同志少女よ、敵を撃て』

すばらしい作品だった。この年になるとあまり大部の本は手に取るのが苦痛になる。この本も薦められたとはいえ、読み始めるのは少し躊躇した。しかし、長い作品なのに途中で止めることができない。アガサ・クリスティ賞選考において初めて全員一致で選出されたというのも無理はない。

内容について文句のつけようがない。強いて欠点を挙げるならば、賞の選者の一人も同じように感じたらしいが、タイトルに少し疑問を感じた。「敵」というのは、単にドイツ兵ではないのかも知れないが。