堀田善衛『定家明月記私抄』

堀田善衛『定家明月記私抄』ちくま学芸文庫、68ページ
「和歌とは何。それは、要するに、こたえる歌の意なのであり、それが原意である。つまり近、現代的な独立した一種の詩歌という意は原意には添っていないのである。それは常に応答、交換を期しているもので、場合によっては会話、対話の一種でさえある。従ってその実用の中には政治的応用さえもが入りうるのである。」

 これには驚いた。和歌の機能や役割については異論はない。特に平安時代においておや。しかし原意というのはどうだろう。ぼくは漢詩に対する和歌だと思っていた。長歌に対して短歌というように。倭歌という表現も見た記憶がある。